「予防歯科」
今回、PTAの皆様方の前で歯についてお話をさせていただける事になりました。どのようなお話をさせていただくかいろいろ考えたのですが、最近テレビのCM等で良く耳にするようになりました「予防歯科」、これに関するお話をさせていただきます。
本日、理解して帰っていただきたいことがまず2点あります。それは、
・子供の虫歯予防の大切さ
・歯科定期検診の大切さ
です。
今までの虫歯の治療といえば削る、抜歯する、詰める、入れ歯を入れるの繰り返しでした。それで虫歯は治癒したのでしょうか?平成11年歯科疾患実態調査によりますと、
・虫歯もなく治療もしていない健全な歯は減少している。
・何らかの充填処置等を受けた歯は、最終的に抜歯になることが多い。
・8020どころか80歳で20本歯が抜けている人が多い。
以上のような現実が明らかになりました。なぜこのような事になってしまったのでしょうか?皆さん、自分はきちんと歯を磨いていると思っています。しかし歯と修復材料の間に、虫歯菌の進入を許すミクロの隙間ができてしまう事も多いのです。したがって下記のような虫歯スパイラルという現象が起こります。
虫歯スパイラル 一度虫歯になって詰める。
↓
必ず詰めたところから虫歯になる。
↓
治療を繰り返す。
↓
抜歯をせざるを得なくなる。
要するに、7歳くらいで虫歯ができて削って詰めたら、そのあと抜歯するまで進行は止まることはないという事です。しかし、逆に言うと中学くらいまでに1本も永久歯虫歯を作らなければ1生虫歯で困ることがほぼなくなるということであります。ここに、子供の虫歯予防の大切さがあるのです。
そして、定期的に歯のクリーニングと歯の検診を繰り返すことで再治療を防がなければならないのです。ここに定期検診の大切さがあります。
おわかりいただけましたでしょうか?以上、子供の虫歯予防の大切さと歯科定期検診の大切さのお話でした。
ところで、中学までに虫歯を作らないために大切なのは、フッ素と歯の再石灰化です。再石灰化を促進するには
・食事は良く噛んで。たっぷり唾液をだす。
・間食はしてもいいが回数を少なくする。
・だらだら食いはダメ。
・就職直前の飲食はしない。
・一日最低一回、特に就寝前に、ていねいに歯磨きをする。
・フッ素入りの歯磨剤を使う。
・キシリトール入りのガムをかむ。
・定期的にプロのクリーニングを受ける。大人なら半年に一回以上、子供なら三ヶ月に一度。
以上です。
少しでも皆様の健康増進にお役に立てればと思い、お話しさせていただきました。最後までご静聴いただきありがとうございました。
城東区歯科医師会会員
吉田 忠司